医療現場と職場の間で毎年激しい摩擦を生んでいるのが、復帰時の「証明書類」をめぐるトラブルです。「会社から治癒証明書をもらってこいと言われた」と訴える患者が医療機関に殺到し、冬場の外来を圧迫する光景が各地で報告されています。
日本医師会および関係省庁は、治癒証明書の要否と発行手続きに関して明確な見解を示しています。インフルエンザの治癒証明書は医学的に「完治してウイルスを100%排出していないこと」を証明するのが極めて難しく、通院のために待合室へ行くこと自体が新たな感染拡大を生む要因となります。このため、厚生労働省は経済団体に対し、従業員に対して治癒証明書や陰性証明書の提出を求めないよう要請を続けています。
診断書提出の義務と会社規定についても、法的な整理が必要です。医師の診断書は自費診療となり、1通あたり3,000円から6,000円程度の自己負担が発生します。企業側が独自のルールとして診断書を義務づけること自体は違法ではありませんが、現場の混乱を避けるため、近年では「調剤薬局の明細書(抗ウイルス薬の処方履歴)」や「検査キットの判定写真」「医療機関の領収書」の提示で代替とする柔軟な運用へ舵を切る企業が全体の7割を超えています。
万が一、勤務先から治癒証明書の提出を厳命された場合は、「厚生労働省の通達により、医療現場では治癒証明書の発行を行わない方針となっている」旨を人事に伝え、医療機関が発行する一般的な受診証明や調剤録での代用を交渉するのが賢明です。