御舟の異彩と見事な対比をなすのが、日本美術院の創設に参加し近代日本画の金字塔を打ち立てた巨匠・横山大観の作品群、そして御舟のもう一つの重要文化財である『名樹散椿』だ。横山大観が探求した輪郭線を持たない独自の描写は、空気や光の湿り気までを画布に封じ込め、見る者を広大な自然のふところへと引き込む。
一方、昭和期の日本画として初めて重要文化財に指定された『名樹散椿』は、画面全体に緻密に施された金箔の質感が静かな威厳を漂わせる。散り落ちた紅椿の花弁と深く生い茂る緑の葉が見せるコントラストは、派手やかな装飾美でありながらどこかモダンで、現代の私たちの感性にもダイレクトに響いてくる。