祭りと暴力団の関係において、世間に最も強い衝撃を与えたのが東京・浅草の「三社祭」を巡る一連のトラブルでした。
2000年代半ば、一部の暴力団関係者や傘下の神輿同好会が、浅草神社の宮神輿(本社神輿)に乗り上がり、半纏を脱ぎ捨てて全身の刺青を誇示しながら気勢を上げる行為がテレビの報道特番やネット上で拡散。一般の担ぎ手を威圧し、祭りの神聖さを著しく損なう危険行為として社会問題化しました。この事態を受け、2007年には浅草神社奉賛会と神社側が「本社神輿の宮出し・宮入りの中止(2008年の一年間)」という前代未聞の苦渋の決断を下します。
警視庁と地元関係者は、以下の対策を徹底して講じました。
- 神輿への乗り上がり行為の条例禁止:東京都迷惑防止条例や暴力団排除条例に基づき、神輿に乗った者を即座に建造物損壊や暴力行為等処罰法違反等で現行犯逮捕する体制を確立。
- 刺青露出の全面禁止と正規半纏の着用義務化:指定された町会・宮頭の発行する正規の半纏を着用していない者の担ぎ手排除。
- 防犯カメラと私服警察官の大量配備:威圧的な言動や組織的誇示行為に対する即時介入。
関係者の証言や現場の取材によると、導入当初は一部愛好会からの反発や現場での小競り合いも見られたものの、警察の断固たる検挙姿勢により、現在では神輿の上で刺青を晒すような行為は完全に姿を消しました。地元住民からは「家族連れや外国人観光客が安心して見物できる本来の浅草の祭りに戻った」と評価される一方、過密な警備体制に対する一抹の寂しさを漏らす古参ファンの声も記録されています。