銀幕の巨星・山田五十鈴の足跡と真実!名匠を狂わせた凄絶なる演技力

銀幕の巨星・山田五十鈴の足跡と真実!名匠を狂わせた凄絶なる演技力

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彼女の代表作を語るうえで欠かせないのが、シェイクスピアの『マクベス』を戦国時代に翻案した黒澤映画の傑作『蜘蛛巣城』と、テレビ史に燦然と輝く時代劇『必殺仕事人』シリーズだ。ここには、後世まで語り継がれる壮絶な撮影裏話が存在する。

『蜘蛛巣城』で演じた浅茅(あさじ)役において、彼女は夫を野望へと唆す悪女を怪演した。有名な「手を洗うシーン」では、一切の瞬きをせず、蝋人形のごとき静寂の中に狂気を孕ませた。撮影現場では、黒澤監督が指示を出さずとも完璧な間合いで身体を動かし、共演の三船敏郎すらその冷ややかな覇気に圧倒されたという。スタジオ全体が氷つくような緊迫感の中で生まれたあの名演は、映画史に残る怪演として今も称賛されている。

また、後年の『必殺仕事人』シリーズで演じた三味線屋の三味線師匠・おリク役では、熟練の立ち回りと圧倒的な存在感で番組の看板を背負った。三味線の糸を使って悪人を仕留める凄惨なシーンにおいても、指先ひとつの動きに優雅さと恐怖を同居させ、若手キャスト陣に「時代劇の所作とは何か」を背中で語り続けた。撮影の合間には気さくにスタッフへ声をかけつつも、カメラが回った瞬間に場の空気を一変させるプロ意識は、共演者たちを震撼させた。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。