戦前の別れから長い歳月が流れ、多くの視聴者が「星野さんは戦死してしまったのではないか」と懸念していた中、奇跡の再会が描かれたのが第15週・第88話でした。雑誌『あなたの暮し』の出版活動に奔走していた常子が街中で偶然すれ違ったのは、戦争を生き延び、民間製薬会社の研究職に就いていた星野の姿でした。
しかし、その再会は甘いロマンスの再燃だけではありませんでした。星野は戦時中に別の女性と結婚したものの妻に先立たれており、2人の幼い子どもを男手一つで育てるシングルファーザーとなっていたのです。この設定は当時の朝ドラ視聴者に大きな衝撃を与えつつも、過酷な昭和の戦中・戦後を生き抜いた人々のリアルな影を浮き彫りにしました。
星野武蔵の愛息・愛娘を演じた子役たちの存在も、物語の後半に深い味わいを加えました。長男の大樹(たいき)役を演じた荒井雄斗、長女の青葉(あおば)役を演じた東京子(のちに内田未来)の無邪気で時に切ない演技は、常子と星野の距離を縮める架け橋となり、小橋家と星野家が食卓を囲む疑似家族のような温かい時間を作り出しました。
当時のキャスト相関図を振り返ると、常子の母・君子(木村多江)や妹たち(高畑充希、相楽樹、杉咲花)が織りなす小橋家の強固な絆に対し、星野一家は外部から常子の「女性としての幸福」を問いかける唯一のカウンターパートとして機能していたことが分かります。