ネット上の情報やSNSの言説において時折見受けられるのが、「井桁弘恵は仮面ライダー史上完全に最初の女性ライダーなのか?」という議論です。この点には丁寧な文脈の整理が必要です。
歴史的事実として、仮面ライダーシリーズにおける女性の変身自体は、2002年の劇場版『仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』に登場した仮面ライダーファム(演:加藤夏希さん)が公式な第一号とされています。その後も『仮面ライダー響鬼』の仮面ライダー朱鬼、『仮面ライダー鎧武』の仮面ライダーマリカ、『仮面ライダージオウ』の仮面ライダーツクヨミなどが存在しました。
ではなぜ井桁弘恵さんが「女性初」と冠されるのか。その本質は、「TVシリーズの第1話からレギュラー戦士として名を連ね、物語開始直後から恒常的に変身して戦う女性ライダー」という点にあります。従来のゲスト的な変身や終盤のサプライズではなく、作品の基幹システムを担う存在として位置づけられたのは、バルキリーが史上初でした。
また、劇中における刃唯阿のキャラクター展開も決して平坦なものではありませんでした。物語中盤、所属するZAIAエンタープライズの社長・天津垓(あまつ・がい)の意向に逆らえず、己の信念を押し殺して道具のように扱われる重苦しい期間が続きます。ネット上でも当時は「唯阿が不憫すぎる」「早く救われてほしい」という声が溢れました。しかし、第33話で見せた「天津垓への辞表叩きつけと痛烈なパンチ」は、視聴者に強烈なカタルシスを与え、精神的自立を果たした一人の人間としての刃唯阿を完成させる決定的な名場面となりました。