なぜハンバーグに卵を入れるのか、その役割を調理科学の視点から分解すると「加熱によるタンパク質の凝固」と「卵黄に含まれるレシチンによる乳化」の2点に集約されます。卵白が熱で固まることで肉同士を接着し、卵黄が脂と水分をつなぎ止める働きを担っています。
では、卵を抜くとなぜ崩れやすくなるのでしょうか。現場検証や調理実験のデータから判明した卵不使用ハンバーグが崩れる理由は、主に以下の3点です。
第一に、塩による肉のタンパク質溶出不足です。ひき肉は塩を加えて低温で練ることで、筋原線維タンパク質である「ミオシン」が網目構造を作って結着します。卵という凝固剤がない場合、この塩練り工程を疎かにすると肉同士がくっつく力を失い、焼成時にバラバラに割れてしまいます。
第二に、肉ダネの温度上昇による脂の融解です。手の体温などでタネの温度が15℃以上に上がると、肉の脂が溶け出して結着力が大幅に低下します。
第三に、水分保持のアンバランスです。卵の代わりとなる水分・油分補給がないまま焼くと、肉の水分が急激に蒸発し、収縮に耐えきれず亀裂が入ります。つまり、「正しい塩練り」と「保水性の高い代用つなぎ」を組み合わせれば、卵がなくても崩れる心配は一切ありません。