ネット上で最も拡散されやすいのが「青色1号を食べるとがんになる」という言説です。この噂の震源地を辿ると、1960年代から1970年代にかけて行われた古い動物実験に行き着きます。当時、実験動物の皮下に高濃度の色素を直接繰り返し注射したところ、注射部位に肉腫(腫瘍)が発生したという報告がありました。
しかし、この結果は「皮膚組織への局所的な高濃度刺激」による物理的反応であり、口から食べる経口摂取の毒性を示すものではないことがその後の研究で判明しています。FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)や欧州食品安全機関(EFSA)、日本の内閣府食品安全委員会による厳格な毒性試験において、青色1号の発がん性や遺伝毒性は明確に否定されています。
さらに重要なのは、青色1号が体内に取り込まれた後の生体内挙動です。水溶性のトリフェニルメタン系色素である青色1号は、消化管からの吸収率が極めて低く、口から摂取した量の95%以上がそのまま便として体外へ排出されます。血液中に移行して内臓に蓄積する性質はないため、日常的な範囲で口にする限り、内臓疾患や重篤な体への影響を引き起こす科学的根拠はありません。