カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映された瞬間、劇場の空気は完全に凍りついた。メガホンを取ったのは、鋭利な人間描写で世界を挑発し続けるフランソワ・オゾン。彼が今回挑んだのは、ある家族の崩壊と再生を極限のリアリズムで描いた重厚なヒューマンドラマだ。
フランス映画の伝統的なエモーションを継承しつつ、現代的な冷徹さを同居させた演出手法はまさに円熟の極み。企画の初期段階からフランス国立映画映像センターの手厚い助成を受け、作家性を一切妥協することなく突き詰めた製作環境が、作品全体の凄まじい緊迫感に直結している。