蕎麦の風味を左右するつゆとの相性において、更科そばは非常に繊細なアプローチを求める。麺自体に強い蕎麦殻の香気がない分、濃すぎる辛口つゆにどっぷり浸してしまうと麺の繊細な甘みが隠れてしまうのだ。
そのため、伝統的な更科の名店では「あまくち(甘口)」と「からくち(辛口)」の2種類のとっくりを供する店が多い。まずは辛口でキリッとした醤油の輪郭を味わい、次に出汁とみりんのコクが効いた甘口で麺の甘みを引き立てるという、好みに応じたブレンドを楽しむのが通の嗜みとされている。
また、健康志向の高まりとともに注目される栄養面だが、更科そばのカロリーは1食(茹で上がり約200g)あたり約280〜300kcalと、一般的な蕎麦とほぼ同等だ。蕎麦殻周辺に多く含まれるルチンや食物繊維の含有量は全粒粉蕎麦に比べて控えめになるものの、デンプンが主体の構成であるため消化吸収に優れ、胃腸に負担をかけにくいという利点がある。