中原中也の人気は、決して過去の教科書の中だけに留まっていません。2010年代以降、大人気コンテンツ『文豪ストレイドッグス』において中原中也が帽子を愛用する凄腕の異能者(異能力名:汚れつちまつた悲しみに)として描かれたことで、若い世代のファンが爆発的に急増しました。
この現象は、山口県山口市湯田温泉にある中原中也記念館の来館者動向にも劇的な変化をもたらしています。同記念館の取材データや公開資料によると、かつての中高年層主体の文学愛好家層に加え、10代〜20代の女性を中心とする新規来館者が定着。キャラクターをきっかけに館を訪れた若者が、中也直筆の推敲原稿、愛用のトランク、手紙の痛々しい筆跡に触れ、本格的な文学作品の読者へと成長していく好循環が生まれています。
SNSやファンコミュニティでの声を検証すると、「アニメのカッコいい中也から入ったが、本物の手紙や詩を読んでその繊細さと悲痛な生き方に号泣した」「『サーカス』の哀愁が大人になってから心に刺さる」といったリアルな感想が溢れています。虚構のエンターテインメントが入り口となり、本物の文学が持つ普遍的な引力が現代の若者の孤独な心と共鳴している現場が、そこにあります。