高校英語 前置詞使い分け を学ぶ際、ネット上の解説記事や初学者向け参考書でしばしば議論を呼ぶのが「紙(paper)」の扱いです。辞書や入試問題では、ほぼ例外なく以下の英文が正答とされます。
・Paper is made from wood.(紙は木から作られる)
これに対し、一部の学習者からは「和紙のように木の繊維が肉眼で見えている場合はmade ofと言えるのではないか?」「物理変化・化学変化の線引きは曖昧ではないか?」という疑問が投げかけられます。実際、製造プロセスの詳細を知らなければ、「木をすりつぶして薄く固めただけなら物理変化ではないのか」と混乱するのも無理はありません。
しかし、木材から紙を作る工程(パルプ化)では、リグニンを除去し繊維を化学的に抽出・漂白する複雑な化学処理が行われています。木そのものの木理や硬度は完全に消失しており、製品となった紙のどこを触っても「木材そのもの」の感触はありません。このため、英語ネイティブの言語感覚としても「木という原点から遥か遠く離れた別の物質へ変容した」と捉えられ、圧倒的にfromが自然だと認識されます。
ネット上の極端な俗説の中には「現代英語ではネイティブはofとfromの区別を気にしていない」とする言説も見受けられます。しかし、主要な英英辞書(Oxford、Cambridge、Merriam-Webster等)や学術コーパスの用例分析を精査すると、書き言葉やフォーマルなビジネス文書において両者の明確な区別は依然として堅固に維持されています。安易な一般化に惑わされず、原則に忠実な理解を持っておくことが安全です。