SNSやネット上の質問掲示板を調査すると、「今まで虫の卵だと思ってその葉を全部捨てていた」「スーパーにクレームを入れそうになった」という声が今なお数多く見受けられます。食品ロスの観点からも、この誤解による廃棄は深刻な社会的損失といえます。
大手流通や産直市場の現場を取材すると、農家側の切実な思いが浮かび上がってきます。長年白菜を栽培する長野県の生産者は次のように語っています。
「ゴマ症が出ている白菜は、土の栄養をたっぷりと吸い上げ、厳しい寒風に耐えて甘みをギュッと蓄えた証拠でもあります。見た目の綺麗さだけで敬遠され、市場で等級を落とされたり家庭で捨てられたりするのは本当に悔しい。ゴマ症の白菜のほうが肉厚で鍋にすると美味しかったりするのです」
近年では、農協(JA)や大手スーパーの青果売り場でも「この黒い点はポリフェノールです。安心してお召し上がりください」といったPOPを掲示する店舗が増加しています。見た目の均一性を求めるあまり、栄養豊富で安全な食材を廃棄してしまう悪循環を断ち切るためにも、正しい知識の共有が不可欠です。