関西圏の他路線と比較しても、なぜ阪和線はこれほどまでに遅延が日常化しやすいのでしょうか。鉄道関係者への取材およびダイヤグラムの構造分析から、阪和線特有の4つのボトルネックが浮かび上がってきます。
第1の要因は、大阪環状線との大規模な相互直通運転です。大阪・梅田方面から天王寺を経て阪和線へ乗り入れる「関空快速」「紀州路快速」「直通快速」は、大阪環状線の過密ダイヤの波を直接受けます。環状線側でドア挟まりや急病人対応などによるわずか2〜3分の遅れが発生すると、そのまま阪和線内へ遅延が持ち込まれ、後続の普通電車や特急「くろしお」の運行順序にも玉突き事故のように影響が拡大します。
第2の要因は、日根野駅における関空快速・紀州路快速の「連結・切り離し(増解結)作業」です。下り列車は日根野駅で前4両(関西空港行き)と後4両(和歌山行き)を切り離し、上り列車は日根野駅で両者を連結して8両編成となり大阪方面へ向かいます。どちらか一方の列車が数分でも遅れて到着すると連結相手を待たせることになり、連鎖的に上下線全体のダイヤが狂う構造的な弱点を抱えています。
第3の要因は、沿線に残る多数の踏切と「踏切安全確認」の多発です。阪和線は高架化事業が進められてきたものの、南田辺〜杉本町間や津久野〜鳳間などを除き、堺市南部から泉州・和歌山エリアにかけて多数の踏切が現存します。自動車の立ち往生、踏切直前横断、非常ボタンの押下による安全確認が日常的に発生し、一度安全確認が入ると防護無線発報により周辺を走行する全列車が停止信号を受信するため、広範囲に遅れが波及します。
第4の要因は、関西空港連絡橋における強風・気象制限と沿岸部の特殊環境です。りんくうタウン〜関西空港間の空港連絡橋は海上を渡るため強風の影響を極めて受けやすく、風速規制による速度規制や運転見合わせが頻発します。また、沿線での飛来物付着や線路内立ち入り、踏切事故・人身事故が発生した場合、待避線や折り返し設備の制約から全線復旧までに時間を要しやすいのも大きな特徴です。