現代のポップカルチャーやサブカルチャーにおいて、「場末」という単語が最も頻繁に登場するのが「場末のスナック」や「場末の酒場」というフレーズです。ネオン看板の蛍光灯が薄暗く明滅し、ベルベットのソファと年季の入ったカラオケ機器が置かれた空間は、昭和から平成初期の空気を今に伝えています。
都市空間のフィールドワークや横丁取材の現場では、20代から30代の若年層を中心に「あえて場末感のある店を探して通う」という現象が定着しています。ここで言われる場末感とは、無機質に洗練されたチェーン店や高級バーにはない「生活感」「色褪せた哀愁」「気取らないアットホームさ」が混ざり合った独特の空気感を指します。
かつては「流行遅れの寂れた店」というネガティブな側面が強調されがちでしたが、現代では過度な効率化やデジタル化に疲れた現代人が肩肘を張らずに過ごせる「究極のチル空間」として再評価されています。見栄を張る必要のない安堵感こそが、人々を惹きつけてやまない理由です。