鉛温泉 藤三旅館を象徴する存在が、日本屈指の自噴天然岩風呂として名高い白猿の湯(しろざるのゆ)です。約600年前、白猿が木の根元から湧き出る泉で傷を癒していたところを藤三旅館の祖先が発見したという開湯伝説に由来します。この風呂が全国の温泉ファンを惹きつけてやまない最大の理由は、加水・加温・循環・消毒を一切行わない完全なる足元自噴(あしもとじふん)にあります。
天然の岩盤をくり抜いて作られた湯船は、成人男性の胸元まで浸かる水深約1.25mを誇る立ち湯(立位浴)です。立ったまま入浴することで全身に均等な静水圧がかかり、血行促進と深いリラクゼーション効果が得られる仕組みになっています。見上げれば吹き抜けの木造3階建てに匹敵する高天井が広がり、高窓から差し込む自然光が湯面に反射する光景は、まさに文化財の内部で湯に浸かるような神秘的な感覚をもたらします。
一方で、初めて訪れる方が最も気にするのが混浴の運用と女性専用時間の割り振りです。白猿の湯は伝統を守る混浴風呂ですが、女性利用者が安心して入浴できるよう、以下の通り1日3回の女性専用時間帯が厳格に設けられています。
- 朝の女性専用時間:6:00 〜 7:00
- 昼の女性専用時間:14:00 〜 15:00
- 夜の女性専用時間:19:30 〜 21:00
混浴時間帯におけるバスタオル巻きや湯浴み着の着用は湯質保護のため原則禁止(湯船に入る直前までタオルで体を隠すことは可能)とされており、浴槽内では純粋な素肌での入浴が基本ルールとなります。女性専用時間帯は本館・湯治部の宿泊者だけでなく日帰り客の女性も集中するため、静寂を保ちながら名湯を堪能できる夜の枠(19:30〜21:00)は宿泊者にとって極めて価値の高い時間帯となっています。