ネット上の掲示板やSNSでは「軽トラックをレンタルして友人と運べば安上がり」という投稿が散見されるが、これは極めてリスクが高い選択肢だ。洗濯機、とりわけドラム式は重量が80kg近くあり、大人2名でも階段運搬時の転落事故や腰部負傷の危険が伴う。また、賃貸物件の共用部や新居のクロス・床を傷つけた場合の原状回復費用は、浮かせた運搬費の数倍に跳ね上がる。
さらに見過ごされがちなのが「横倒し運搬」の危険性だ。軽自動車の荷台に入らないからと本体を横に倒して積載すると、内部モーターの軸ズレや吊りバネの変形、内部に残った微量の水がインバーター基板に浸入し、一発で致命的な故障に至る。メーカー各社も洗濯機の横積み運搬は厳禁と明記している。
また、現在使用している洗濯機の使用年数が6〜7年を超えている場合は、引っ越しを契機とした「処分・買い替え」を検討する方が合理的な場合が多い。家電リサイクル法に基づく処分費用(リサイクル料金約2,500〜3,300円+収集運搬料)や新居への運搬・設置費用を合算すると、1万数千円から2万円前後のコストがかかる。メーカーの補修用性能部品の保有期間(製造打ち切り後6〜7年)を過ぎた旧型機に移動コストをかけるより、最新の省エネ・節水モデルへ新調する方が、長期的な光熱費削減と故障リスク回避の観点から賢明な投資となる。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
新生活における洗濯機の移設について、客観的なリスクとコストを踏まえた判断基準を提示する。
【そのまま移設・プロ委託をおすすめできる人】
・購入から3〜4年以内の高年式モデルを使用している
・輸送用固定ボルトが手元に保管されている(ドラム式の場合)
・新居の防水パン内寸および蛇口の高さに十分な余裕がある
・引っ越し業者の基本プランや家電設置保証サービスに組み込める
【処分・買い替え・再検討をおすすめする人】
・購入から7年以上が経過しており、異音や脱水不良の前兆がある
・新居の搬入経路が極めて狭く、クレーン吊り上げ等の高額費用(2万〜4万円)が見込まれる
・固定ボルトを紛失し、引っ越し日までに純正品の再手配が間に合わない
・友人や家族だけで無理に自力運搬しようと計画している