野村訓市氏を語る上で欠かせないのが、世界的なクリエイターや映画監督、海外セレブたちとの深甚なネットワークです。彼の国際的な映画キャリアの契機となったのは、ソフィア・コッポラ監督の名作『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)への出演でした。東京の夜を案内するカルチャーアテンダントとして制作陣と深い関わりを持ち、劇中にも顔を出しています。
さらに親交が深いのが、独特の映像美で知られる映画監督ウェス・アンダーソン氏です。2018年に公開されたストップモーション・アニメーション映画『犬ヶ島(Isle of Dogs)』において、野村氏は共同原案としてクレジットされただけでなく、主要キャラクターである小林市長役の声優を務め、さらには日本側キャスト(野田洋次郎氏、渡辺謙氏、夏木マリ氏ら)のキャスティングまで主導しました。
トム・サックス(現代アーティスト)やカニエ・ウェスト、エイサップ・ロッキー、キアヌ・リーブスといった名だたるトップスターが来日した際、必ずと言っていいほど野村氏のもとを訪れるのは有名な話です。彼が単なる「通訳」や「案内役」ではなく、互いのクリエイティビティを高め合える対等なコラボレーターとして信頼されている証左と言えます。