膵臓がんを早期、あるいは切除可能な段階で発見できた当事者たちの記録を分析すると、多くの患者が「激痛」ではなく「説明のつかない違和感」を最初の異変として挙げています。闘病記や患者団体のアンケート、手記に共通するリアルな発覚のきっかけは、主に次の3つのパターンに集約されます。
第一のパターンは、膵臓がんの初期症状として頻発する背中の痛みやみぞおちの鈍痛です。多くの体験談で語られるのは、「最初は肩甲骨の内側や腰のあたりが重苦しく、筋肉痛や筋膜炎だと思ってマッサージや整形外科に通っていた」「前屈みになると少し楽になるが、仰向けで寝ると違和感が増す」という特有のサインです。胃薬を飲んでも改善しない上腹部痛が数週間続いたことで消化器内科を受診し、精密検査へ進んだ事例が目立ちます。
第二のパターンは、糖尿病の急激な悪化や新規発症です。体重が増加していないにもかかわらず、健康診断で突然ヘモグロビンA1c(HbA1c)が急上昇したケースや、50代以上で突然「糖尿病」と診断されたケースです。インスリンを分泌する膵臓に腫瘍ができることで内分泌機能が破綻し、糖代謝に急変が起きます。かかりつけ医が「急激な血糖悪化の背景に膵疾患がある」と判断し、腹部造影CTを実施したことで膵臓がんの早期発見のきっかけをつかんだ実例が複数報告されています。
第三のパターンは、膵臓がんの黄疸症状や便・尿の色の変化です。膵頭部(十二指腸に近い側)に腫瘍ができると胆管が圧迫され、胆汁の流れが滞ります。体験談では「白目が黄色っぽくなった」「尿の色がウーロン茶や濃い紅茶のように濃くなった」「便が白っぽく油っぽくなった」といった異変を家族から指摘され、緊急受診したという声が多数を占めます。黄疸は比較的早期に現れやすい特徴があり、切除可能な段階で見つかる貴重な手がかりとなります。