安全地帯として日本の音楽シーンの頂点に君臨していた1980年代後半から1990年代にかけて、玉置浩二の心は限界を迎えていた。過密スケジュールと創作へのプレッシャー、そして周囲の期待が、彼の精神を徐々に蝕んでいったのだ。ある日突然、感情のコントロールを失い、精神科病院への入院を余儀なくされたエピソードは、ファンの間でも広く知られている。
当時の日本は、今以上に精神疾患に対する理解が乏しかった時代だ。彼は薬物治療を受けながら、外界から完全に遮断された白い部屋で過ごしたという。その孤独と恐怖は想像を絶するものだったが、彼はその暗闇の中でも音楽への情熱だけは手放さなかった。