「いろり山賊 玖珂店」を訪れた者が一様に口にするのは、山奥の街道沿いに突如出現する圧倒的な世界観への驚きです。広大な敷地に足を踏み入れると、天高く掲げられた無数の幟旗(のぼりばた)、夜空を焦がす篝火(かがりび)、無骨な丸太組みの櫓(やぐら)が視界を埋め尽くします。山口県岩国市玖珂町ドライブの最終目的地として、中四国や九州エリアのドライバーから長年「聖地」として崇められてきた背景には、綿密に計算された空間演出があります。
公式発表資料や現地観察によると、玖珂店は山賊の全拠点(玖珂店・錦店・周東店)の中でも最大規模を誇り、敷地内には「いろり山賊」「竈(かまど)」「桃李庵(とうりあん)」というコンセプトの異なる3つの建物が鎮座しています。春の桜、端午の節句の巨大こいのぼり、七夕、秋の紅葉、冬の雪景色と、日本の四季折々の年中行事がド派手に設営され、訪れるたびに異なる祝祭の熱気を感じられます。
地元関係者や常連客の証言によると、「免許を取ったらまず友達や恋人と夜の山賊へドライブに行く」という通過儀礼が広島・山口エリアの若者文化として半世紀近く定着しています。高速道路や幹線道路の利便性向上も相まって、現在では全国各地からツアー客やバイカー、ファミリー層が殺到。食事を摂るだけでなく「お祭りに参加する高揚感」を味わえる稀有なスポットであることが、いろり山賊がなぜ人気なのかという最大の理由に他なりません。