雫が図書館に通うために駆け上がった、あの急な坂道。それが「いろは坂」だ。実際に自分の足で歩いてみると、想像以上に息が切れる。傾斜のきついカーブを曲がるたび、映画のワンシーンが頭をよぎる。
坂を登りきった先に見えてくるのが、物語のシンボルでもある桜ヶ丘ロータリーだ。中央にそびえる木々は、季節ごとに異なる表情を見せ、訪れる者を迎えてくれる。かつてファンがメッセージを書き残したノートが置かれていたカフェなど、時代の流れとともに姿を変えた店もある。それでも、この場所が放つ独特の空気感は変わらない。ロータリーのベンチに座り、目を閉じると、どこからかバイオリンの美しい音色が聞こえてくるような錯覚に陥る。