ドコモのCMといえば、かつては「星プロ(星野源さん、新田真剣佑さん、長谷川博己さんら)」シリーズや、綾瀬はるかさんを筆頭としたオールスターキャストによる大作志向が主流でした。しかし、ここ数年で出演者の顔ぶれは明確に様変わりしています。この交代劇の裏には、通信業界における構造改革とマーケティング戦略の抜本的なシフトがあります。
最大の転換点は、単一の大容量プラン(旧ギガホ・ギガライトなど)から、「eximo」「irumo」「ahamo」という明確な3本柱へのブランド再編です。かつてのように「誰もが知る大物俳優を1チーム起用し、ブランド全体の好感度を上げる」手法では、多様化・細分化したユーザーニーズに刺さらなくなりました。公式発表資料や宣伝担当者の動向からも、プランごとのペルソナ(想定顧客像)に最適化されたタレントを個別起用する方針が鮮明に読み取れます。
さらに見逃せないのが、「通信単体」から「金融・決済を含めたポイ活経済圏」への競争軸の移行です。通信回線のスペックを語る時代は終わり、日々の生活でいかにdポイントが貯まるか、dカード積立がお得かという生活密着型の価値訴求が最優先課題となりました。ロバート秋山さんのような生活感とユーモアを体現できるキャストや、主婦層・働く女性層から絶大な共感を集める石原さとみさんの起用は、経済圏争奪戦を勝ち抜くための必然的な選択といえます。