清水章吾のキャリアの黄金期を支えたもうひとつの柱が、伝統的な時代劇と、土曜ワイド劇場に代表されるサスペンスドラマである。
とりわけ東映が手がける時代劇作品においては、格式高いお代官様から悪徳商人、時には主人公を助ける義理堅い剣客まで幅広く演じ分けた。立ち振る舞いの美しさ、着物の着こなし、威厳に満ちた発声法は、まさに東映の現場で長年培われてきた本格派の証だった。
また、2時間サスペンスの枠組みにおいては、事件の真犯人役や警察幹部、あるいは疑惑をかけられる資産家など、物語の緊張感を高めるキーパーソンとして欠かせない存在であった。彼が画面に登場するだけで「この人物には何か裏があるのではないか」と思わせるサスペンス独特の空気感が醸し出されたものだ。