TOKONA-Xという存在を語る上で、彼が心血を注いだ伝説のクルーM.O.S.A.D.(モサド)の存在を外すことはできません。メンバーである"E"qual(イコール)、AKIRA、そしてDJ FIXER。互いに鎬を削りながら名古屋・栄のクラブシーンで培ったハードコアな美学は、当時の東京中心だった日本の音楽地図を根底から塗り替えました。「052」という市外局番を誇り高く掲げ、地方都市から全国の頂点を目指すスタイルは、彼らによって確立されたものです。
そして、TOKONA-Xの精神を誰よりも誠実に後世へと受け渡し続けているのが、若き日から苦楽を共にしたDJ RYOWです。TOKONA-XのバックDJを務め、その圧倒的な存在感を最も間近で体感していたDJ RYOWは、盟友の死後も決して彼の音を途絶えさせませんでした。
DJ RYOWは自身のアルバムにおいて、TOKONA-Xの未発表テイクや過去のマスターテープからサンプリングしたボーカルを幾度となく蘇らせています。代表曲「WHO ARE U?」の再構築シリーズや、2016年に発表され大きな反響を呼んだ「ビートモクソモネェカラキキナ 2016」など、第一線のトップラッパーたちがTOKONA-Xのバースに敬意を払い、自らの声を重ねる企画は今やヒップホップシーンの恒例行事となっています。それは単なる追悼の枠を超え、TOKONA-Xが遺した「言葉の強度」が今なお現役の音楽として機能していることの証明です。