二人の関係性の原点は、実弥が風柱へと昇格した直後のエピソードに遡ります。原作コミックス第19巻・第168話「百世の過客」において、実弥が初めて参加した柱合会議の回想シーンが描かれています。
母と弟妹を鬼に奪われ、親友の粂野匡近を失った直後の実弥は、心に深い傷を負い、産屋敷耀哉に対しても鋭い敵意を剥き出しにして食って掛かりました。その緊迫した空気の中、実弥の暴言を優しく、しかし毅然と諫めたのが胡蝶カナエです。カナエは実弥を「不死川くん」と呼び、お館様が隊士たちを心から大切に想っている事実を諭しました。周囲が実弥の狂気的な態度に警戒を強める中、カナエだけは彼の荒々しい態度の裏にある「深い悲しみと孤独」を一目で見抜いていたのです。
さらに、公式小説『鬼滅の刃 片羽の蝶』では、二人の日常的な距離感がより具体的に描写されています。柱合会議の場などでカナエが実弥に笑顔で話しかける姿や、それに対して実弥が照れ隠しから素っ気ない態度を取りつつも、内心では拒絶していない様子が妹の胡蝶しのぶの視線を通して語られています。しのぶが実弥のガラ悪さを警戒し「カナエ姉さんに近づいてほしくない」とやきもきする描写は、ファンにとって微笑ましくも愛おしい名場面として広く知られています。