本場所の支度部屋や花道周辺を取材すると、大波三兄弟を取り巻く独特の空気に気づかされます。通常、同じ部屋に複数の関取がいる場合、ライバル意識からピリピリとした緊張感が漂うことも珍しくありません。しかし荒汐部屋の支度部屋では、長男・若隆元が淡々と次男・若元春や三男・若隆景の締め込みを整え、弟たちが兄の指示に真剣に耳を傾ける光景が日常的に見られます。
SNSやファンのコミュニティでも、この三兄弟の絆に対する反響は極めて好意的です。「兄が弟の付け人を務める姿に涙が出る」「長男の佇まいに大人の男の器の大きさを感じる」といった声が多数を占めます。公の場で見せる若隆元の表情には、弟たちの成功に対する嫉妬の翳りなど微塵もありません。報道陣から弟たちの活躍について問われた際、若隆元は「弟たちが勝つ姿を見るのが、自分の相撲の何よりの活力になる」と穏やかに答えています。
また、次男・若元春の存在感も見逃せません。性格的には飄々としてユーモアに富む若元春は、ストイックで自分を追い込みがちな三男・若隆景の緊張を絶妙に解きほぐすバッファー(緩衝材)として機能しています。荒汐部屋の稽古場は、長男が規律を保ち、次男が空気を和らげ、三男が技術の最高峰を示すという、完璧なトライアングルによって支えられているのです。