1人目の夫との離婚後、シングルマザーとして精力的にヒット作を生み出し続けていた東村氏に、2度目の春が訪れたのは2013年のことでした。相手は注目の若手ファッションブランド「ANREALAGE(アンリアレイジ)」の立ち上げや経営に携わり、のちに自身のアパレルデザイン会社を率いることになるデザイナーの安藤悟史氏です。
当時、東村氏は30代後半。人気漫画家と気鋭のファッションデザイナーというカルチャー界のトップランナー同士の再婚は、ファンからも大きな祝福を受けました。
『東京タラレバ娘』連載期に生じた決定的な時間不足
しかし、この再婚生活も約3年半で終わりを迎えます。2017年4月、東村氏は自身の公式ブログを通じて協議離婚が成立したことをファンに向けて率直に報告しました。
ブログの声明文で明かされた離婚理由は「仕事の多忙によるすれ違い」でした。当時の東村氏は、社会現象を巻き起こしていた『東京タラレバ娘』をはじめ、『海月姫』『雪花の虎』など複数の看板連載を同時に抱え、1カ月の執筆ページ数が100枚を超える極限状態にありました。仕事場には常にアシスタントが出入りし、プライベートと業務の境界線が完全に消失していた時期です。
一方の安藤氏もまた、自身のブランド展開や店舗デザインなどで国内外を飛び回る多忙な日々を送っていました。東村氏は公表文の中で、次のような趣旨の胸中を綴っています。
「お互いにものづくりに全力を尽くす中で、夫婦として向き合い、家族としての時間を共有することが極めて難しくなってしまった。憎み合って別れるのではなく、お互いの人生と仕事を応援し合うための前向きな選択である」
金銭面や異性関係の破綻ではなく、「お互いが自己の表現活動を一切妥協できなかった」ことこそが、2度目の離婚に至る最大の要因だったことが窺えます。