なぜここまで外国籍住民の生活保護がインターネット上で激しい反発を招くのでしょうか。そこには、制度の不透明さに起因する根強い都市伝説と、現場が直面する過酷な現実が混在しています。
誤解1:「外国人は日本人より窓口で簡単に保護を受けられる」
ネット上で頻繁に主張される「外国籍だと水際作戦に遭わず、すぐに保護費が支給される」という言説は、現場の実務実態と正反対です。行政機関の内部資料や関係自治体のヒアリングによると、外国人の申請受付時には言語の壁が存在するだけでなく、就労資格の有効期限、本国送金の実態、親族による扶養可能性など、日本人以上に多角的な確認作業が発生します。扶養照会についても、国内にいる親族に対しては厳格に実施されます。
誤解2:「最高裁判決を無視した違法支給がまかり通っている」
前述の通り、最高裁は「生活保護法に基づく法的請求権」を認めなかったものの、地方自治体が厚生労働省の通知に沿って自らの行政判断で準用保護を実施することまで禁じてはいません。地方公共団体にとっては、管内に現に生活破綻者が存在する場合、保護を拒絶して路上生活化や飢餓、犯罪への傾斜を招くより、公費によって健康と衛生を保ち、社会の秩序を維持する方が合理的であるという政策判断(行政目的)が働いています。
一方で、福祉事務所の担当者たちは深刻な「板挟み」に苦しめられています。市民からの「なぜ外国人に税金を投じるのか」という強い電凸や抗議電話に対応しつつ、目の前で住居を失い衰弱した母子家庭や重病の外国人高齢者を見捨てるわけにはいかないという人道上の葛藤です。特に配偶者からのDV被害を受けて逃げ出した外国籍の妻と子どもが「日本人の配偶者等」ビザのまま困窮するケースなどでは、保護の開始が唯一の生命維持手段となる現実があります。