日本テレビ系『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』において、チャリティーマラソンのクライマックス=『負けないで』の大合唱というフォーマットは、いまや日本国民にとって夏の風物詩とも言える光景です。しかし、番組側が最初からテーマソングとして契約していたわけではありません。
きっかけは、マラソン企画の第2回目にあたる1993年夏の放送でした。走者を務めたタレントの間寛平氏が、身体の限界を迎えながら日本武道館を目指していた日曜日の夕暮れ、番組スタッフが「今、最もランナーの心情とシンクロし、視聴者の胸を打つ楽曲は何か」と選曲室でレコードを探し、現場判断で生放送のフロアに流したのが、その年の上半期に大ヒットを記録していた『負けないで』でした。
「最後まで走り抜けて」「ゴールは近づいてる」というフレーズが、疲弊しきったランナーの足取り、沿道の声援、そして武道館の生中継映像と完全に一致した瞬間、スタジオ内だけでなく全国の視聴者に鳥肌が立つような一体感が生まれました。制作現場の直感による偶然の選曲が、テレビというメディアの持つドキュメンタリー性と化学反応を起こし、翌年以降も「ランナーの背中を押す唯一無二のアンセム」として恒例化していったのです。