日野小学校の事件において、世間の注目と疑念を最も集めたのが、犯行現場に残されていたメモに記された「てるくはのふ」という言葉でした。紙片には「学校を攻撃する」「自分を止められるか」といった挑発的な文言とともに、意味不明なひらがなの羅列が署名のように残されていたのです。
警察の鑑識や暗号解読班、さらには言語学者によっててるくはのふ 意味の分析が急ピッチで進められました。有力視された仮説の一つが、パソコンのキーボード配列による入力エラーです。JISキーボードの「かな入力」と「ローマ字入力」の切り替えミスや、特定の文字列を逆から打った痕跡ではないかという推測が飛び交いました。しかし、決定的な意味の特定には至らず、犯人の個人的な妄想や造語(言語新作)であった可能性が高いと結論付けられています。
後の捜査関係者の証言や周辺取材によると、書類送検された犯人の現在と生い立ちを辿るなかで、深刻な対人関係の破綻と孤立が浮き彫りになりました。小・中学校時代から目立たない存在とされ、高校中退後は自宅に引きこもりがちとなり、社会に対する強い疎外感や被害妄想を募らせていたことが確認されています。誰にも自己の存在を誇示できない閉塞感が、最も無防備な児童への攻撃という最悪の凶行へと向かった背景が推測されます。