著名人の子弟に対してネット上で必ず噴出するのが、「どうせ親の資金力とコネで留学も就職も有利に運んだのだろう」という冷ややかな見方である。しかし、この言説はアメリカの高等教育システムと近年の雇用実態を著しく見誤っている。
第一に、米国の大学教育において、親が日本の芸能人であることは合否や単位取得、卒業要件に対して文字通り1ミリも寄与しない。厳密なGPA(成績平均値)管理と膨大なエッセイ提出、チームディスカッションでの発言が求められる環境では、個人の能力不足は即座に落第や退学へと直結する。
第二に、彼が選んだ就職活動の現場も同様である。外資系市場やグローバルマーケットにおいて重視されるのは、「具体的にどのようなスキルを持ち、組織にどう貢献できるか」という一点のみである。国内のコネクションが通用しない領域へ敢えて身を置くことで、彼は自らの力で「岸谷五朗の息子」というレッテルを無力化してみせた。