インターネット上や都市伝説で度々話題にのぼるのが、「実は4匹目の猿が存在する」という噂です。結論から言えば、日光東照宮の神厩舎にある彫刻は3匹(全8面合計では16匹)であり、東照宮内に物理的な「4匹目の三猿」が隠されているわけではありません。
しかし、思想史・文化史の観点から見ると、「4匹目の猿」は世界各地に明確に実在します。その正体は、股間を押さえて交配の節制や不義の戒めを表す「せざる(しざる/四猿)」です。
『論語』の原文にあった4番目の戒め「非礼勿動(礼に非ざれば動くこと勿れ=悪事をなすな)」に対応するもので、海外では「Three Wise Monkeys」の発展形として「Four Wise Monkeys」が広く定着しています。
- 英語表現での対比:
- 見ざる:See no evil
- 聞かざる:Hear no evil
- 言わざる:Speak no evil
- せざる(4匹目):Do no evil(または Have no evil)
インドの独立運動指導者であるマハトマ・ガンディーも、常に「見ざる・聞かざる・言わざる」の小像を身近に置き、非暴力・不服従の精神的支柱としていました。日光の三猿はシルクロードを経て東洋の哲学と日本の匠の技が結晶化したものであり、今や国境を越えて「悪を遠ざけ、清廉に生きる知恵」として世界共通の言語となっています。