ギース・ヌカディアの正体は、物語の黒幕である人神(ヒトガミ)が最も頼りにしていた「切り札」となる使徒です。作中で人神は同時に最大3人までの使徒を使役できますが、多くの使徒が一時的な誘導や脅迫によって動かされていたのに対し、ギースは初めから人神の存在を知り、自発的にその神意に従い続けていた唯一無二の忠臣でした。
彼が人神に命を捧げるに至った決定的な理由は、かつて彼が生まれ育った「ヌカ族」の滅亡に起因します。魔大陸に住まうヌカ族は、小柄で猿のような風貌を持ち、魔力を持たず闘気も纏えないという、魔族の中でも極めて脆弱な種族でした。ラプラス戦役の混乱の中でギースの故郷の村は完全に壊滅し、部族は実質的に全滅。その絶体絶命の危機において、少年のギースに生き残るための助言を与え、命を救った唯一の存在こそが人神でした。
弱肉強食が絶対の異世界において、力なき小男が生き延びられたのは人神の助言があったからに他なりません。ギースにとって人神は「未来を教えて自分を生かしてくれた絶対の恩人」であり、その崇拝と忠誠心は信仰心という枠を超えた絶対的な行動原理となっていました。ルーデウスを抹殺せよという人神の命は、彼にとって恩義を返すための絶対命令だったのです。