スタジアムのキャパシティを語る上で、まず押さえるべきは「用途による空間構造の根本的な違い」です。味の素スタジアムの基本スペックとして公式資料に記載されている固定収容人数は49,970席(車椅子席等を含む実質約5万人)となっています。この数値は、スタンドに常設された座席の総数を指しており、主にJリーグやラグビーなどのスポーツ興行における基準値です。
一方で、スタジアムライブや大型野外フェスが開催される場合、この数字は一変します。天然芝グラウンドおよび人工芝エリアに特殊な保護マットを敷き詰め、巨大な特設「アリーナ席」を構築することで、スタンド席(演出機材やメインステージ裏で見切れとなるエリアを除外した有効席)にアリーナ席約1万5,000〜2万5,000席が上乗せされます。その結果、コンサート開催時の最大収容人数は約55,000人〜70,000人という、国内屈指のメガキャパシティへと拡張されるのです。
Jリーグの現場に目を向けると、味の素スタジアムを共同本拠地とするFC東京と東京ヴェルディの動員力は、スタジアムの熱気を測る重要なバロメーターです。2024年の東京ダービー復活以降、2025年から2026年にかけてのリーグ戦では、伝統の一戦やメモリアルマッチにおいて4万5,000人から5万人近い満員御礼を記録する試合が頻発しています。クラブ関係者への取材によると、動員が4万人を超えるとコンコースの売店やトイレの待機列は通常の倍以上に達し、スタジアム全体の導線設計が極限状態に達することが確認されています。