国民的チャリティー番組として半世紀近く続いてきた看板特番に泥を塗ったのは、日本テレビ系列局・日本海テレビジョン放送(鳥取市)の重職にあった人物でした。2023年11月、同社が開いた緊急記者会見で明かされた事実は、関係者のみならず一般視聴者を愕然とさせました。
犯人の正体と社内での立場は、同社の経営戦略局長を務めていた元幹部社員(当時53歳)です。経営戦略局長といえば、会社の予算編成や事業戦略の中枢を担う要職であり、社内の金銭管理やコンプライアンスを指導・監督すべき立場にありました。同社公式発表によると、元局長は2014年から2023年までの約10年間にわたり、自社の売上金や経費のみならず、社屋内で保管されていた『24時間テレビ』の善意の募金にも継続的に手を伸ばしていました。
寄付金着服の手口は、驚くほどアナログかつ大胆なものでした。日本海テレビでは、毎年本社ロビーや各地の募金会場で善意の寄付金を回収した後、最終的な集計と金融機関への送金が行われるまでの間、社内の金庫で現金を保管していました。元局長はこの現金の出し入れを管理・監督できる立場を悪用し、施錠された金庫から現金を紙袋や私物に移し替えて持ち出していました。毎年、送金前の現金を少しずつ抜き取っては帳簿の数字を辻褄合わせし、周囲に気付かれないよう工作を重ねていた実態が第三者委員会等の調査でも浮き彫りになっています。
着服の動機と使途について、元局長は社内調査に対して「スロットなどのギャンブル、飲食代、親族の医療費や消費者金融の借金返済に充てていた」と供述しました。プレッシャーのかかる管理職のストレス発散という個人的な欲望を満たすため、視聴者が一円一円を持ち寄った純粋な善意がギャンブル場へと消えていた事実は、社会的道義の面からも弁解の余地がありません。