ノーウェアの売却後、2年間の契約期間を経て2013年に完全フリーとなったNIGO氏は、すでに水面下で始動させていた新ブランド「HUMAN MADE(ヒューマンメイド)」に全霊を注ぎ込みます。このブランドを運営する母体こそが、現在彼が代表を務める株式会社オツモです。
ファッション業界関係者や熱狂的ファンの証言を追うと、彼がBAPE時代の痛恨の失敗から導き出した「3つの明確な勝利の方程式」が浮かび上がってきます。
第1に、「在庫リスクの極小化と週次ドロップシステム」の導入です。巨大な旗艦店を構えて大量の在庫を抱え、ブーム沈静化とともにセールでブランド価値を落とした過ちを繰り返さないため、オンライン直販(D2C)と厳選した少数店舗のみで毎週新作を少量限定リリースする手法を徹底しました。これにより、定価消化率は驚異的な数値を叩き出し、過剰在庫による赤字リスクを完全に排除しています。
第2に、「世界的セレブリティとの真の友情によるオーガニック拡散」です。盟友であるファレル・ウィリアムスをはじめ、カニエ・ウェスト、BTSのメンバー、Lil Uzi Vertといったグローバルスターたちが、プロモーションの枠を超えて私服としてHUMAN MADEを愛用。SNS時代の潮流と完璧に合致し、広告宣伝費をかけずに世界中のZ世代へ熱狂を伝播させました。
第3に、「ヴィンテージのアーカイブに対する圧倒的な審美眼」です。古着マニアとしても知られるNIGO氏の知見を注ぎ込み、日本の卓越したクラフトマンシップで旧式吊り編み機などを用いて再現されるクオリティは、単なるストリートウェアの枠を超え、世界中のコレクターを唸らせるアートピースとしての地位を確立しました。