テレビ局の編成幹部が「もはや一企業の採算ラインを完全に超えている」と頭を抱える最大の要因、それはWBC放映権料の高騰理由が複合的なグローバル構造に起因している点です。2023年大会で日本戦が平均世帯視聴率40%超を連発した実績は、興行としての価値を証明した一方で、米主催者側の強気な価格設定を招く直接的な引き金となりました。
背景にあるのはMLB機構の放映権ビジネスにおける戦略転換です。MLBは国内市場の頭打ちを打破するため、国際大会であるWBCを最重要マネタイズ資産と位置づけました。さらに近年の急激な円安ドル建て決済の負担増が日本の放送局に重くのしかかっています。契約金がドルベースで設定されるため、ドル高環境下では実質的な支払額が過去大会比で1.5倍近くまで膨れ上がる構造です。
かつては数百万人規模の視聴者を抱える地上波放送が広告枠を販売すれば十分に回収可能でした。しかし、国内のテレビ広告費がインターネット広告費に逆転されて久しい現在、数十億円に及ぶ放映権料と数億円規模の現地中継制作費を合わせれば、どれほど高視聴率を獲得しても大赤字になるリスクを民放各社は背負うことになります。