ショートケーキのデコレーションなどでお菓子作りに慣れていない人がつまずきやすいのが、泡立て作業(ホイップ)の失敗です。ここでも両者の物性の違いが顕著に現れます。
生クリームは泡立ちの立ち上がりが早く、手早くしっかりとした角が立ちます。しかし、温度変化に極めて弱く、混ぜすぎると「乳脂肪の分離」を起こしてボソボソとしたバター状になってしまうリスクがあります。作業時は必ず氷水にボウルを当て、品温を5〜8℃前後に保ちながら慎重に泡立てる必要があります。
これに対し、ホイップクリームは安定剤や乳化剤が含まれているため、多少泡立てすぎても分離しにくく、保形性が非常に高いという強みがあります。常温に近い環境でもダレにくく、絞り袋を使った細かな絞り出しや、長時間形を保ちたいケーキの飾り付けには、むしろホイップクリームのほうが初心者にとって扱いやすい選択肢となります。