同じ5000歩を歩くのであっても、やり方次第で消費効率と心肺機能への刺激は何倍にも跳ね上がる。その決定的な手法が、速歩きと有酸素運動の組み合わせである。
前述の中之条研究をはじめとする最新の運動科学が推奨するのは、「歩数」と「中強度の時間(早歩き)」のハイブリッド設計だ。中強度の運動とは、「なんとか笑顔で会話はできるが、歌を歌うのは息苦しい」程度の負荷(最大心拍数の60〜70%程度)を指す。
具体的には、通勤や散歩の最中に「大股で腕を後ろに大きく引く速歩き」を3分間行い、その後に「普通の歩行」を3分間行うインターバル速歩が極めて有効だ。5000歩のうち、合計で「10〜15分間」の速歩きを組み込むだけで、ミトコンドリアの活性化が進み、歩行中だけでなく運動後も基礎代謝が高い状態が持続する(EPOC効果=運動後過剰酸素消費)。
また、1日8000歩との違いについて言及すると、8000歩(中強度20分含む)は、脂質異常症や動脈硬化の進展を食い止め、本格的に体脂肪を削ぎ落とす「治療・減量領域」の基準値となる。しかし、運動習慣が定着していない人が最初から8000歩や1万歩を目指せば、膝や股関節を痛めて脱落するリスクが高い。まずは「5000歩(うち速歩き10分)」を盤石の習慣に育て上げることこそが、最短距離で代謝体質を手に入れる王道アプローチだ。