多くの視聴者が息を呑み、そして深い感銘を受けたのが、クァンヒョンが御医就任直後に下した「辞退」の申し出でした。宮廷の頂点に君臨し、権勢を誇る重臣たちをも膝まずかせる地位に就きながら、なぜ彼はその座を自ら手放したのでしょうか。
その背景には、イ・ビョンフン監督が作品全体を通じて問い続けた「医術とは誰のためにあるのか」という根源的な命題があります。宮廷にとどまることは、常に政争の具として利用され、王族や特権階級の保身のために医術を制限されることを意味していました。クァンヒョンは顕宗に対し、誠実かつ毅然とした態度で胸中を打ち明けます。
「王様をお救いできたように、道端で倒れる貧しき民の命もまた同じ重さで救いたいのです」
顕宗はこの言葉に深く心を打たれ、彼を宮廷に縛り付けるのではなく、地方官(楊平郡守などの地方行政官兼医師)として派遣する道を選びました。権力や富を誇示するためではなく、制度の届かない辺境で苦しむ民衆に直接手を差し伸べる——この「現場への回帰」こそが、ペク・クァンヒョンという医師の真骨頂であり、御医辞退の真相でした。