1971年1月の放送開始から2022年3月まで、実に51年3カ月にわたって司会を務め、「同一司会者によるトーク番組の最長放送」としてギネス世界記録に認定された『新婚さんいらっしゃい!』。名物となった「イス転倒」のアクションとともに日曜のお茶の間に定着していた文枝が、78歳で自ら番組を退く決断を下した背景には、芸能人としての深い哲学がありました。
降板当時、一部で健康不安説や制作サイドとの摩擦といった憶測が飛び交いましたが、本人が記者会見や手記で明かした真意は「若いカップルのリアルな本音を自然に引き出す司会役としての限界」を自覚したことにありました。70代後半となった自身と20代の新婚夫婦との間に生じるジェネレーションギャップを演出し続けることへの葛藤、そして番組の未来を考えた際の「若返り」の必要性を誰よりも強く感じていたのが文枝自身でした。後任の藤井隆へ見事にタスキを繋いだ引き際は、テレビ界における模範的な世代交代として今なお高く評価されています。