一般に混同されやすい不動産・建築用語ですが、法律上および実務上、明確な線引きがなされています。まずは基本となる「建築主の読み方と意味」を押さえておかなければなりません。「建築主」は一般に「けんちくしゅ」と読みます。建築基準法第2条第16号において、「建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者」と厳格に定義されています。つまり、法律に則って建物を建てる工事の最高責任者です。
これに対し、日常会話やハウスメーカーとの打ち合わせで多用される「施主(せしゅ)」は、もともと仏教用語の「お布施をする人(施主=せす)」に由来する日本の商習慣上の呼称に過ぎません。法令上の定義は存在せず、「お金を出して工事を依頼する顧客」全般を親しみやすく指す言葉です。
さらに「建築主と発注者・所有者の違い」も重要です。「発注者」は民法や建設業法において工事請負契約を結ぶ発注側の当事者を指し、「所有者」は工事完了後に登記簿謄本に記載される物権(所有権)の帰属者を意味します。例えば、親の土地に子が資金を出して建物を建て、将来的に共有名義にするようなケースでは、契約上の発注者、建築基準法上の建築主、完成後の登記上の所有者がそれぞれ異なる形骸化や重複が発生します。この「建築主と施主の違い」や発注者との境界線を曖昧なままにしておくと、後に是正命令や税務調査が入った際に深刻な責任の押し付け合いに発展します。