当初、祝日法改正の議論において最有力候補と目されていたのは8月12日だった。だが、この日付には重い影が落ちていた。1985年8月12日、群馬県御巣鷹の尾根に日本航空123便が墜落した大惨事の日である。多くの人命が奪われた痛ましい記憶が残る日に祝日を設けることに対し、強い懸念と反対の声が上がったのは当然の帰結だった。
そこで浮上したのが前日の「8月11日」だった。数字を漢数字の「八」に置き換えると山が裾野を広げる美しい稜線の形に見え、「11」は立ち並ぶ木々の姿を連想させる。後付けの言葉遊びのようにも思えるが、この象徴性と、お盆休みの帰省ラッシュや連休化を後押しする経済的合理性が結びつき、法改正へと一気に舵が切られた。
こうして2014年の法改正を経て、2016年から国民の祝日として正式に施行されるに至ったのである。