子供の鋭敏な味覚をクリアするために欠かせないのが、アクの正体であるシュウ酸の適切な除去です。シュウ酸は水溶性の有機酸で、舌にピリッとした刺激を残すだけでなく、カルシウムの吸収を阻害する性質を持ちます。このえぐみをいかに断ち切るかが、幼児食作りの成否を分けます。
ネット上の情報では「電子レンジ加熱で手軽に下ごしらえ」という時短テクニックが散見されますが、幼児食においてこれは最大の落とし穴となります。レンジ加熱は水分が蒸発するだけでシュウ酸が外に排出されず、葉の中に濃縮されてしまうためです。幼児食用のほうれん草は、必ず「たっぷりの熱湯で茹でて水にさらす」工程を踏む必要があります。
理想的なほうれん草のシュウ酸下茹で時間は、沸騰した湯で1分〜1分30秒です。茎側を先に30秒ほど浸し、その後に葉全体を沈めて1分程度茹で上げます。茹ですぎるとビタミンCなどの水溶性ビタミンが過度に流出し、食感もベチャベチャになってしまうため、タイマーを用いた時間管理が推奨されます。
茹で上がったら、間髪を入れずに氷水または流水に浸します。ここでのポイントは、水にさらす時間を3〜5分程度にとどめることです。長時間水に浸けすぎると風味が抜けて水っぽくなり、かえって不味くなります。引き上げた後は両手で根元から先端に向けて均一に力をかけ、水気をしっかりと絞り切ります。この脱水が不十分だと、調味料が薄まり、青臭さが際立ってしまいます。