新海作品を語る上で欠かせないのが、ロックバンド・RADWIMPSとの濃密なコラボレーションだ。脚本段階から楽曲制作が並行して進められるという異例の手法は、映像と音楽が互いを高め合う圧倒的なシナジーを生み出した。セリフと歌詞が交錯し、劇伴のメロディがキャラクターの鼓動と重なり合う瞬間、劇場は単なる鑑賞の場を超えて、感情体験の空間へと変貌する。
この革新的な映像世界を支えているのが、長年ともに歩んできたアニメーション制作会社「コミックス・ウェーブ・フィルム」の職人集団だ。手描きのアニメーションが持つ温かみと、最新のデジタル技術を極限まで融合させた背景美術。雲の切れ間から射し込む「天使の梯子」や、濡れたアスファルトの光沢は、彼らの妥協なき美意識によって生み出されている。