本作の説得力を支えた大きな要素が、主演の松本潤さんと石原さとみさんの抜群のケミストリーです。二人は2003年のドラマ『きみはペット』以来の本格共演であり、互いのキャリアが円熟味を増したタイミングでの再会となりました。
失恋ショコラティエ石原さとみ当時の年齢は27歳。少女のような無垢さと、大人の女性が漂わせる妖艶さの両面を完璧に表現できる、女優としてひとつの黄金期を迎えていました。小動爽太を演じた松本潤さん(当時30歳)の狂気じみた情熱と妄想を受け止め、軽やかに翻弄する芝居のラリーは、視聴者のみならず批評家からも「恋愛ドラマ史に残る絶妙な間合い」と高く評価されました。
また、原作コミック(水城せとな作)とドラマ版の差異も重要な議論を呼んだポイントです。放送当時は原作がまだ連載中だったため、ドラマはオリジナル要素を交えながら結末を描き出しました。
原作の紗絵子がより人間臭いエゴや結婚生活への生々しい葛藤、孤独を覗かせるのに対し、ドラマ版のサエコさんは「爽太のミューズ(創造性の源)」としての象徴性がより色濃く演出されています。最終回において、爽太がサエコさんへの狂おしい執着を手放し、彼女もまた現実の家庭へと戻っていく結末は、甘美な逃避行を終わらせて互いに現実を生き抜く道を選んだビターで誠実な幕引きとして語られています。