ネクタイの色と柄が決まったら、次にこだわるべきは立体的な「結び方」と「胸元の演出」です。ここを疎かにすると、どんなに高価なシルクタイを身につけていても、着崩れた印象を与えてしまいます。
1. 結び目に命を吹き込む「ディンプル」の技術
フォーマルシーンにおけるネクタイの結び方として最も推奨されるのは、結び目が左右対称で端正な三角形を描く「セミウィンザーノット」、あるいは襟型を選ばない「プレーンノット」です。
そして、絶対に忘れてはならないのが「ディンプル(くぼみ)」の形成です。結び目の直下に縦の立体的な溝を一つ作ることで、胸元に陰影が生まれ、スーツ全体が引き締まります。欧米のドレスコードにおいて、ディンプルのない平坦なネクタイは「無表情で活気がない」「弔事を連想させる」と解釈されることもあります。お祝いの活気と躍動感を表現するためにも、ノットを締め上げる最終段階で人差し指を中央に添え、美しい縦ジワをしっかりと固定してください。
2. ポケットチーフとの黄金比
結婚式においてポケットチーフは、ネクタイと対をなす必須のフォーマルアイテムです。チーフを挿していないスーツ姿は、フォーマルの世界では「未完成の装い」とみなされます。
チーフ選びで失敗しないためのセオリーは以下の2点です。
- 親族や格式重視の場合:白の麻(リネン)またはシルクチーフを、水平に少しだけ覗かせる「TVフォールド」で挿す。清潔感と端正な品格が際立ちます。
- 友人の式で華やかさを出す場合:ネクタイと同系色のシルクチーフを選び、ふんわりと花びらのように膨らませる「パフスタイル」や、角を3つ覗かせる「スリーピークス」で挿す。
注意したいのは、量販店などでセット販売されている「ネクタイと完全に同じテキスタイルで作られたチーフ」をそのまま使う手法です。一見まとまりが良いように見えますが、装飾過剰で垢抜けない印象を与えがちです。「ネクタイがペールブルーなら、チーフは白地にブルーの縁取りがあるリネンを選ぶ」といったように、色味をリンクさせつつ素材やトーンをわずかにズラすのが上級者のテクニックです。
3. 蝶ネクタイ(ボウタイ)を取り入れる際のマナー
昨今のカジュアルウェディングやガーデン挙式、レストランウェディングの普及に伴い、ゲストとして蝶ネクタイを選ぶ男性も増えています。
しかし、蝶ネクタイには着用すべき時間帯とシチュエーションの明確なルールが存在します。本来、黒の蝶ネクタイは夜の準礼装であるタキシード専用のアイテムです。昼間の伝統的なチャペル挙式や格式高い大聖堂で行われる式典に、平服のダークスーツ+黒蝶タイで出席するのはマナー違反となります。
友人の結婚パーティーや二次会で蝶ネクタイを取り入れるのであれば、夕方以降の披露宴、あるいはカジュアルな1.5次会を狙うのが賢明です。その際も黒無地は避け、ワインレッドやネイビーのドット柄、織りの質感があるシルクジャカードなどを選ぶことで、程よい抜け感とお祝いのムードを巧みに演出できます。