不死身を失ったと聞けば、通常は劇的な弱体化を連想する読者も少なくありません。しかしバンに限っては、その直前に経験した「煉獄」での途方もない鍛錬が、彼を人類の限界を遥かに超越した怪物へと進化させていました。
魔神王の呪縛によって精神体だけが煉獄へ落とされた親友・メリオダスを救出すべく、バンは常人であれば数秒で肉体が溶け崩れる灼熱と極寒、腐食の瘴気が渦巻く極限空間へと単身飛び込みました。そこで彼が過ごした時間は、現実世界では数ヶ月でも煉獄の体感時間にして千数百年以上に及びます。
不死身の再生能力に頼りながら肉体の破壊と再生を数え切れないほど繰り返した結果、彼の細胞そのものが煉獄の環境に適応。通常空間へ帰還した時点で、その肉体耐久力と筋力は、魔神族の最上位個体や魔神王の直撃を素手で受け止められるレベルへと昇華していました。
さらに見逃せないのが、長年行方不明となっていた神器「聖棍クレシューズ」の回収です。盗まれてマーリンが買い戻していたこの四節棍は、特性「超集中(コンセントレーション)」を備えています。バンの身体能力、精神力、攻撃の軌道を極限まで凝縮・研ぎ澄ますことで、何百・何千という敵の急所を死角から一瞬で貫く神業が可能となりました。もはや敵の攻撃を浴びて耐える必要すらなく、触れさせずに制圧する次元へと到達したのです。