宙に浮く建築と至高の写実絵画!ホキ美術館で味わう異次元の没入美

宙に浮く建築と至高の写実絵画!ホキ美術館で味わう異次元の没入美

宙に浮く建築と至高の写実絵画!ホキ美術館で味わう異次元の没入美にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

日本における写実の潮流を語る上で、森本草介の存在を外すことはできない。セピアトーンの柔らかな光の中に佇む女性像は、古典絵画の気品と現代的な静寂を同時に宿す。筆跡(タッチ)を極限まで消し去り、まるでカンバスそのものが自発的に発光しているかのような錯覚。観る者は絵の前で自然と背筋を正し、吐息を殺す。

一方で、野田弘志の作品群が放つ気迫は圧倒的だ。朽ちゆく倒木や動物の骨、あるいは人物の生々しい実存感を、冷徹なまでの観察眼で描き切る。1970年代にアメリカで隆盛を極めたスーパーリアリズムが写真的な機械の眼を模倣した運動だったとすれば、野田や日本の画家たちが追求する写実絵画は決定的に異なる。対象物の奥にある命の営み、時間の不可逆性をカンバスに定着させようとする執念。それは現代美術の文脈においても、極めて特異かつ崇高な挑戦と言えるだろう。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。